〇バルト海パイププロジェクトとは
イタリアのSaipem社は今月8日、デンマークとポーランドを結ぶバルト海海底ガスパイプラインを建設する契約にサインをしたと発表した。
この取引はおよそ2億8000万€(約340億円)に値する。EU全体としては、すでにこのバルト海パイプラインプロジェクトに約2億1500万円を投資している。
〇デンマーク経由でノルウェーからポーランドへ
このパイプラインは、北海のノルウェー浅瀬にある天然ガス田とポーランド北部のNiechorze-Pogorzelicaとを結ぶ。契約を結んだSaipem社は、「パイプラインの建設は二酸化炭素排出量の削減とポーランドの大気汚染の改善に貢献する」と述べている。同パイプラインは、2020年後半着工予定だ。
〇ロシアへの天然ガス依存をなくせるか
新しいパイプラインで取引できるガスの容量は、ポーランドの国内需要を超える年間100億㎥にのぼると予想されている。現在ポーランドは天然ガスの国内需要のほとんどをロシアに依存しているため、パイプライン建設によりこの依存を減らすことができるとポーランド政府は考えている。そのため天然ガスを輸入しているロシア企業との契約を、2022年の契約期間満了をもって更新しないよう計画を進めている。
また敷設に関わる建設業者は、「ドイツ-ロシア間の”Nord Stream 2”というパイプラインと今回建設するバルト海パイプラインとは大きく異なる」と言う。ポーランド政府の声明からは、新しいパイプラインによってポーランドがヨーロッパのガスハブになろうとする意図もくみ取れるからだ。ウクライナ等、他の中央および東ヨーロッパの国々も、その資源供給をロシアに依存しているため、これを機に依存脱却が期待されている。