ポーランドのヤロスワフ・ゴヴィン副首相は12日、自身のツイッターで、「ポーランド投資ゾーン(Polish Investment Zone / PIZ)は着実に発展を続けており、2020年には369件、計150億PLN(約33億ユーロ)相当の新規投資決定が行われた」と発表した。2020年はパンデミックが発生し、世界経済が根本から揺るいだ年となったが、ポーランド投資ゾーンでの同年の新規投資は2019年より4%増え、約6,000人の新規雇用があったという。
ポーランド投資ゾーン(Polish Investment Zone)とは
1994年、資本の誘致と雇用の創出が課題となっていたポーランドで、経済特別区域法が採択された。国内の最貧地域の開発促進、新技術の開発支援、輸出促進、製品・サービスの競争力強化等を目的に、特別経済特区(Special Economic Zone / SEZ)が同法の下で設置されることになった。
特別経済特区は、ビジネス開発を刺激する有効な手段となった。1995年から2017年までの間に、同地域では35万以上の正規雇用が創出され、1200億 PLN (264億ユーロ) 以上の資本を引きつけ、2,000社以上もの企業が操業を開始した。
しかし時間の経過とともに、同法の規定に関する議論が起こった。特区固有の特権を付与する過程で地理的な基準が存在することが不平等であると、地方政府や起業家から声があがったのだ。また、法規制と国家の経済政策との連携が欠如していたことも両極化を招いた。経済的に発展した地域に位置する経済特区は起業家の関心を集め、成長に拍車がかかった。一方で、経済的インセンティブの恩恵を受けるはずだった貧困地域では、事業やプロジェクトを積極的に誘致することができず、雇用数も減少した。
そして2018年6月の法改正により、ポーランド投資ゾーン(Polish Investment Zone / PIZ)が導入された。PIZは新規投資プロジェクトに対する公的援助で、事業活動の形態や会社の規模、出身国に関係なく所得税控除を受けることができる。ポーランド全土での新規投資が対象となり、最大15年間CITまたはPITの免除を受けることができる。
これにより、 ポーランドは実質、単一の広大な投資地域となり、投資プロジェクトの場所を選択する際の柔軟性が増した。SEZがポーランド領土に占める割合は0.08%であったが、PIZにより国内のほぼ100%が実質的な“経済特区”となったのである。失業率の高い地域、中小都市、農村地域への支援が増加したことにより、零細・中小企業が支援を獲得する機会も以前より増加した。国内企業うち96%が中小企業であるポーランドにおいては、民間部門全体の就業者の70%を雇用し、国内総生産の約2/3を生み出している中小企業が国民経済に果たす役割は非常に大きく、中小企業の経済状況の改善は極めて重要である。
PIZを利用するには、業界最新のビジネスサービスやIT、R&Dへの新規投資を計画する必要がある。具体的には、新工場の建設、既存のプラントの拡張、工場への新製品の導入、または工場の生産プロセスの根本的な変化等が対象となる。
参考:
https://www.thefirstnews.com/article/polish-investment-zone-stable-despite-pandemic-18991
https://businessinmalopolska.pl/en/offer/for-investors/polish-investment-zone
https://pfr.pl/en/offer/polish-investment-zone.html
https://www.paih.gov.pl/files/?id_plik=33704
https://www.kpt.krakow.pl/en/polish-investment-zone/general-information/#:~:text=The%20Polish%20Investment%20Zone%20(PIZ,of%20the%20company%20they%20run.