Amazon ついにポーランド進出へ

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 ECサイト大手のAmazon社は先月26日、ポーランドにおいて正式にECサイトを立ち上げる準備を開始したと発表した。同サイトの公開日及び運用開始日は未定だが、販売希望者は既に専用サイトから販売者アカウントを登録することが出来るようになっている。

 現在Amazon社は、ポーランドにてテクノロジー開発センター、ウェブサービスブランチ、及び9つのフルフィルメントセンター(物流拠点)を運営している。これらの施設で働く従業員は約18,000人にのぼり、同社はポーランド最大の米国雇用主となっている(2020年10月時点)。上記の施設は隣国市場にサービスを提供するために設立されたものであり、これまでポーランドからAmazonを利用する場合は、ドイツ版Amazon等隣国のプラットフォームを使用する必要があった。

 Amazon社のEU地域開発担当・Alex Ootes氏は、「Amazonの次のステップは、ポーランドの消費者向け小売サービスを提供することであり、現在その準備を進めている。ポーランドでは特に中小企業の成長に貢献したいと考えており、そのためのツールやサービスに投資している。低価格、豊富な品揃え、短納期に焦点を当てることで、ポーランドのお客様の信頼を獲得できると考えている。」とコメントしている。

 しかし、Amazon社がポーランドで事業拡大を図るにあたっては、課題も残されている。2018年、ポーランドのAmazonの配送センターにおける健康・安全・衛生状態の管理体制が不十分であることが労働監督署の指摘により発覚。また2019年には、ポーランドの社員の収入が隣国ドイツと比較して3分の1程度であるにも関わらず、労働時間が非常に長いとして、Amazon労働組合が給与の引き上げを求めるストライキを計画していた。Amazon側は、その後労働環境は改善されたと発表しているが、ポーランドでのサービス運用開始に向けて、今後も管理体制及び労働環境の水準を維持することは必要不可欠だ。

 さらにポーランドには、 ”ポーランドのアマゾン” とも呼ばれる強力なライバル、”Allegro” が存在する。1999年設立のAllegroは、1,230万人超の利用者と約12万人の販売者を抱える、東欧地域最大のECサイトだ。昨年10月には、ポーランド史上最大の新規株式公開(IPO)としてワルシャワ証券取引所に上場した。ポーランドにおける両社の戦略について、mBankのアナリスト・Pawel Szpigiel氏は、「配送料無料のオプションをもつAmazonの参入に対し、Allegroは無料配送オプションをより幅広く提供していく必要がある。Allegroの配送コスト増加は避けられないだろう。」と分析している。

参考:
https://www.aboutamazon.eu/press-release/amazon-planning-to-launch-amazon-pl
https://notesfrompoland.com/2021/01/27/amazon-announces-entry-to-polish-market/?fbclid=IwAR25VfhWiAhVgwmE8569n-VFLF4D7ZJflWt3Tl8urZZBtuK6VahbzljTMtM

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