パンデミックに伴う営業制限が続くポーランドで、サービス業の経営者らが反発の声をあげている。今月初め、ポーランドフィットネス連盟(PFF)は、政府が定めた営業制限措置に反し、ポーランドのフィットネスジムの約半数にあたる約1,600施設が営業を再開したと発表した。
ポーランドでは昨年12月28日から、飲食店における店内飲食の禁止やショッピングモールの閉鎖等を定めた制限措置が実施されている。同措置は少なくとも2月末まで続くとされているが(2月8日現在)、2月1日からは措置の一部が緩和され、ショッピングモール等の商業施設、博物館・美術館等の文化施設の営業再開が可能となった。しかし飲食店(テイクアウト・デリバリーを除く)やジム・スポーツクラブ等の屋内スポーツ施設の営業再開に関しては、未だ目途が立っていない状況だ。
この状況に対し、ジムや飲食店の経営者を含む市民からは、制限内容の見直しを求める声があがっている。PFFは取材に対し、「現在フィットネスクラブやジム等の施設は、衛生対策を行ったうえで営業することすら禁止されている。しかし同措置を正当化する、信頼できるデータはこれまでのところ得られていない」と主張したうえで、「前向きな姿勢で営業を再開する」と述べた。
首都ワルシャワでは、スポーツ施設の閉鎖に抗議する人々による集会が昨年秋頃から度々開かれてきた。これに対し保健相は、「制限を回避するためのアイデアで互いに出し抜こうとしている人々」と非難し、「責任感の欠如に愕然とする。あなたは自分自身を傷つけるだけでなく、他の人々をも危険にさらしているのだ。」とツイートしている。
この流れに続き、営業再開する飲食店も増加しているとみられる。ポーランド美食商工会議所によれば、今月から2万以上のレストランが規則に反して店内飲食を再開するとみられるという。ほかにも、#otwieraMY(#営業中)というスローガンを掲げ、政府の措置にオープンに対抗する姿勢を見せている企業もある。ワルシャワ中心部のパブ・PiwPawは、店内の壁にビールのキャップのコレクションがあることと、2月1日から博物館等の文化施設が営業再開したという事実を利用し、「ワルシャワビールキャップ博物館」として営業を再開している。
一方で、規則に反して営業を再開することに積極的でない経営者もいる。以前と同じように客が入らないのであれば、法的・財政的リスクを冒してまで営業を再開することに価値を見出せないという考えからだ。
法律専門家の中では、政府の規制導入が違憲ではないかという疑念が高まっている。非常事態宣言が出ていないにも関わらず、規制が不当に厳格であるだけでなく、憲法上の自由に対する不法な侵害でもあるという主張もある。実際に、規制に対する異議申立てを行った企業や個人に対し、規制の違法性を認める判決が下されたケースも少なくない。
参考:
https://notesfrompoland.com/2021/02/02/half-of-gyms-reopen-in-poland-amid-growing-rebellion-against-lockdown/
https://notesfrompoland.com/2020/10/18/gym-declares-itself-a-church-to-avoid-closure-under-polands-coronavirus-restrictions/
https://notesfrompoland.com/2021/01/15/map-shows-polish-businesses-reopening-in-defiance-of-illegal-lockdown/
https://notesfrompoland.com/2021/02/02/courts-challenge-legality-of-polands-lockdown-encouraging-businesses-to-reopen/