コロナ禍の人々 ポーランド

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2020年3月11日、WHOによって新型コロナウイルスの大流行が宣言されました。
これを受け同日、ポーランドを含む多くの国において、様々なが対応策が発表されました。
対応策と並行して、ポーランドにおいては感染リスク低減のための衛生管理教育キャンペーンも始動しました。

当時のポーランド国内での主な懸念事項は、
感染拡大スピードと、衛生規則に従わない無責任な人々の存在でした。

この記事では、新型コロナウイルスのポーランドにおける感染拡大と、
それによる人々の生活の変化についてまとめています。

感染拡大初期

ポーランドでは3月に都市封鎖(ロックダウン)が実施されました。
これに伴い、すべての教育機関、レストラン、ホテル、ショッピングモール、空港などが休業を余儀なくされました。
同時に、不要不急の外出も禁止されました。

その後、ポーランド政府による危機対応策やコロナ関連で苦しむ起業家及び企業活動支援計画が整備され、
徐々に都市封鎖も緩和の方向に向かいました。
感染拡大初期には、「外出時にマスクをする」というエチケットがポーランド人になかなか根付かなかず、マスクをきちんとつけていない人に街中で出くわすことも頻繁にありました。
その結果、外出は感染リスクが高いと判断した多くの企業が、可能な限りリモートワーク体制への切り替えを行いました。
同様に、感染拡大発生時から学校の夏休み期間(7月~9月初頭)まで、すべての教育機関がZoom、Discord、Microsoft Teamsなどのツールを用いた遠隔授業を実施することとなりました。

ポーランドではカトリックが主な宗教であるため、イースターを祝うことは重要とされています。
しかし、2020年のイースターはちょうど感染拡大初期にあたりました。
例年、家族ととも食卓を囲み一緒に過ごすイースターですが、残念なことに昨年は、
集まることを断念する家族も多く見受けられました。また、カトリック教徒にとってクリスマスより重要な行事ともいわれる「復活のミサ」に出席するために教会に行く人さえもあまりいませんでした。

ロックダウンの影響で、多くのポーランド人は自宅の庭やバルコニーで過ごす時間が増えたと感じているようです。

特に春先は例年より暖かかったこともあり、
自宅で過ごすことに肯定的な考え方を持つ人が増えたそうです。

5月になると規制が大幅に緩和され、公共の場でマスクを着用することが義務ではなくなりました。
この時期には多くのポーランド人が、
新型コロナウイルスによるストレスや恐怖からいったん距離を置きたいと考えており、少しずつコロナ以前の生活に戻ろうとする動きも見受けられるようになりました。

6月に実施された調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ポーランド人の約6割が以前より健康に注意を払うようになり、約3割が身体により良い食事をとるようになったそうです。
また、スポーツ施設が閉鎖されたことも相まって、約3割もの人が自宅で以前より運動をするようになったといいます。

長期的に見れば、感染拡大により生じた生活様式の変化は健康に良い影響を与えるはずです。
同調査において、回答者の約半数が「身体的健康への関心が増加した」「健康的な食品を食べるようになった」「自分の精神状態により注意を払うようになった」と回答したことからも裏付けられるでしょう。*

一方、ソーシャルディスタンスを確保する動きが強まって以降、ポーランド人のライフスタイルの変化も顕著でした。
多くの人が自然の中、特に公園や森林のなかでより多くの時間を過ごすようになりました。
こういった活動は、免疫系など健康に良い影響を及ぼしました。
また多くの人が、休息や睡眠の時間が増加し、ゆったりと生活を送るようになったとも報告しています。

一方で、感染拡大発生により、それまで生命保険に加入していなかったポーランド人の約31%が新型コロナウイルスに特化した保険への加入を検討したほか、
保険契約者の43%が追加保険を購入することを検討したというデータもあります。*
* 2020年6月にMINDSHAREが実施した研究『COVID-19の生活様式への影響』より)

健康意識が高まる一方、大都市においては結婚式・大規模なパーティーの開催、若者によるバーやナイトクラブへの出入り等が途絶えることはありませんでした。
結局、感染者数は再び増加傾向に転じ、
7月末から8月末までの間、1日あたりの感染者数は750~900人の間で推移していました。

秋から冬にかけて

9月は、ポーランドで学校の新年度が始まる月です。
今年は全ての学校においてソーシャルディスタンス、マスク、消毒のケアを徹底するよう制限と勧告がなされました。
しかし9月に入ってから感染者が急増し、10月中旬には1日あたりの感染者数が2万人を超えるようになったため、学校は再び閉鎖されオンライン形式の授業へと戻りました。
登校再開の見通しは2021年1月現在も立っていません。

今年度学校に入学した学生たちのほとんどが、未だ同級生と顔を合わせることもなく、登校することもなく自宅で勉強を続けています。
また、オンライン授業の導入により、学生が大学の近くに居住する必要がなくなったため、
大学都市では賃貸物件の家賃収入が激減するという問題も浮き彫りになりました。

オンライン授業の是非について、若者の間では意見が分かれています。
青春時代を失ったように感じ、学ぶ意欲がなくなったという人もいれば、
オンライン授業の方が効率的で都合が良いと考える人もいるようです。

クリスマス及び年末年始

クリスマスは、ポーランド人にとって最も大切なイベントといっても過言ではありません。
通常、12月24日には家族や親戚が集まり、12種類の伝統料理を食べながらお祝いをします。
しかし2020年のクリスマスについては、
ポーランドの保健省が「5人以内で祝うのがベスト」というコメントを発表しており、クリスマスの日に大勢で集まることを自粛するよう呼びかけていました。
24日から25日にかけて教会で大規模なミサが行われるのも伝統となっていますが、
昨年は教会に行くことを自粛した人が多かったようです。

クリスマス後の12月28日から1月17日までの間は、事実上のロックダウンが実施されることがクリスマス前の時点ですでに決まっていました。
これには、クリスマス後の感染拡大を防ぐため、そして冬休み期間(1月4日~17日)の集会を防ぐ狙いがあるようです。
特に大勢の人がパーティーを開催すると予想されていた大晦日は、12月31日19:00から1月1日6:00まで外出禁止令が出されました。

しかし、5人以下のパーティー開催については禁止令が出ていなかったため、
「19:00以前にパーティーを始めればいいのではないか」と考えるポーランド人も多く、
それでは外出禁止の意味がない、パーティーを黙認しているようなものだ、などと不満の声もあがりました。

コロナ禍で生じた大きな変化

▼社会のデジタル化

外出自粛は、日常生活のデジタル化に大きな影響を及ぼしました。
ポーランド人の約半数がコロナ以前と比べインターネットをより集中的に利用していることが分かっています。
業務を完全に遠隔勤務へ移行した企業もあるほか、オンライン授業が普及したことにより、電話による受診の可能性、
さらにはオンライン・電話による公共手続きが今後一般的になる可能性もあります。

▼サイバー犯罪の増加

インターネットの利用増加と社会のデジタル化が進んだことにより、
サイバー犯罪が増加したことが分かりました。

世界中で起こるサイバー犯罪のうち、83%がウイルスに感染した電子メールを使ったもので、
うちポーランドでの発生は世界全体の7%を占めています。

▼健康状態

残念ながら、全ての人が感染拡大によって生活習慣を変えたわけではありません。
調査の対象となったポーランド人の半数以上が、2020年3月以降、
生活習慣病の発症リスクを高めるような生活をしてしまっていると述べています。
主に、塩辛いスナック菓子や甘いものをよく食べる、ストレスを溜めがちになっている、座りがちな生活をしているといった傾向が見受けられます。

これらの因子は、高血圧、糖尿病、運動系疾患および肥満の発症リスクを増加させます。
今年6月の調査で、約38%のポーランド人が上記の生活習慣病リスクを懸念していると回答しています。
こういった影響を受け、現在ポーランドでは生命保険加入への関心が高まっているそうです。

パンデミックの影響で、病院や診療所の訪問形態も変化しました。
医療施設におけるクラスターを避けるため、軽い風邪等の症状がある場合は、テレポーターで医師に連絡することができるシステムが追加されました。
患者が予約を入れると、医師が電話で病状を聞き、指示を出すというものです。 

緊急時に病院を受信する際は、温度を測定できる専用の入口を通り、新型コロナウイルス患者に見受けられる症状の有無、感染者との接触、海外での滞在歴等に関するアンケートを記入します。
救急車で搬送される場合は、救急患者が新型コロナウイルスに感染している可能性を鑑み、救急隊員はカバーオールを着用して搬送するとのことです。

ポーランドをはじめ、日本や全世界でも新型コロナウイルスの影響は顕著になっています。
2021年には少しずつ日常が戻ってくることを、願ってやみません。

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2020年3月11日、WHOによって新型コロナウイルスの大流行が宣言されました。
これを受け同日、ポーランドを含む多くの国において、様々なが対応策が発表されました。
対応策と並行して、ポーランドにおいては感染リスク低減のための衛生管理教育キャンペーンも始動しました。

当時のポーランド国内での主な懸念事項は、
感染拡大スピードと、衛生規則に従わない無責任な人々の存在でした。

この記事では、新型コロナウイルスのポーランドにおける感染拡大と、
それによる人々の生活の変化についてまとめています。

感染拡大初期

ポーランドでは3月に都市封鎖(ロックダウン)が実施されました。
これに伴い、すべての教育機関、レストラン、ホテル、ショッピングモール、空港などが休業を余儀なくされました。
同時に、不要不急の外出も禁止されました。

その後、ポーランド政府による危機対応策やコロナ関連で苦しむ起業家及び企業活動支援計画が整備され、
徐々に都市封鎖も緩和の方向に向かいました。
感染拡大初期には、「外出時にマスクをする」というエチケットがポーランド人になかなか根付かなかず、マスクをきちんとつけていない人に街中で出くわすことも頻繁にありました。
その結果、外出は感染リスクが高いと判断した多くの企業が、可能な限りリモートワーク体制への切り替えを行いました。
同様に、感染拡大発生時から学校の夏休み期間(7月~9月初頭)まで、すべての教育機関がZoom、Discord、Microsoft Teamsなどのツールを用いた遠隔授業を実施することとなりました。

ポーランドではカトリックが主な宗教であるため、イースターを祝うことは重要とされています。
しかし、2020年のイースターはちょうど感染拡大初期にあたりました。
例年、家族ととも食卓を囲み一緒に過ごすイースターですが、残念なことに昨年は、
集まることを断念する家族も多く見受けられました。また、カトリック教徒にとってクリスマスより重要な行事ともいわれる「復活のミサ」に出席するために教会に行く人さえもあまりいませんでした。

ロックダウンの影響で、多くのポーランド人は自宅の庭やバルコニーで過ごす時間が増えたと感じているようです。

特に春先は例年より暖かかったこともあり、
自宅で過ごすことに肯定的な考え方を持つ人が増えたそうです。

5月になると規制が大幅に緩和され、公共の場でマスクを着用することが義務ではなくなりました。
この時期には多くのポーランド人が、
新型コロナウイルスによるストレスや恐怖からいったん距離を置きたいと考えており、少しずつコロナ以前の生活に戻ろうとする動きも見受けられるようになりました。

6月に実施された調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ポーランド人の約6割が以前より健康に注意を払うようになり、約3割が身体により良い食事をとるようになったそうです。
また、スポーツ施設が閉鎖されたことも相まって、約3割もの人が自宅で以前より運動をするようになったといいます。

長期的に見れば、感染拡大により生じた生活様式の変化は健康に良い影響を与えるはずです。
同調査において、回答者の約半数が「身体的健康への関心が増加した」「健康的な食品を食べるようになった」「自分の精神状態により注意を払うようになった」と回答したことからも裏付けられるでしょう。*

一方、ソーシャルディスタンスを確保する動きが強まって以降、ポーランド人のライフスタイルの変化も顕著でした。
多くの人が自然の中、特に公園や森林のなかでより多くの時間を過ごすようになりました。
こういった活動は、免疫系など健康に良い影響を及ぼしました。
また多くの人が、休息や睡眠の時間が増加し、ゆったりと生活を送るようになったとも報告しています。

一方で、感染拡大発生により、それまで生命保険に加入していなかったポーランド人の約31%が新型コロナウイルスに特化した保険への加入を検討したほか、
保険契約者の43%が追加保険を購入することを検討したというデータもあります。*
* 2020年6月にMINDSHAREが実施した研究『COVID-19の生活様式への影響』より)

健康意識が高まる一方、大都市においては結婚式・大規模なパーティーの開催、若者によるバーやナイトクラブへの出入り等が途絶えることはありませんでした。
結局、感染者数は再び増加傾向に転じ、
7月末から8月末までの間、1日あたりの感染者数は750~900人の間で推移していました。

秋から冬にかけて

9月は、ポーランドで学校の新年度が始まる月です。
今年は全ての学校においてソーシャルディスタンス、マスク、消毒のケアを徹底するよう制限と勧告がなされました。
しかし9月に入ってから感染者が急増し、10月中旬には1日あたりの感染者数が2万人を超えるようになったため、学校は再び閉鎖されオンライン形式の授業へと戻りました。
登校再開の見通しは2021年1月現在も立っていません。

今年度学校に入学した学生たちのほとんどが、未だ同級生と顔を合わせることもなく、登校することもなく自宅で勉強を続けています。
また、オンライン授業の導入により、学生が大学の近くに居住する必要がなくなったため、
大学都市では賃貸物件の家賃収入が激減するという問題も浮き彫りになりました。

オンライン授業の是非について、若者の間では意見が分かれています。
青春時代を失ったように感じ、学ぶ意欲がなくなったという人もいれば、
オンライン授業の方が効率的で都合が良いと考える人もいるようです。

クリスマス及び年末年始

クリスマスは、ポーランド人にとって最も大切なイベントといっても過言ではありません。
通常、12月24日には家族や親戚が集まり、12種類の伝統料理を食べながらお祝いをします。
しかし2020年のクリスマスについては、
ポーランドの保健省が「5人以内で祝うのがベスト」というコメントを発表しており、クリスマスの日に大勢で集まることを自粛するよう呼びかけていました。
24日から25日にかけて教会で大規模なミサが行われるのも伝統となっていますが、
昨年は教会に行くことを自粛した人が多かったようです。

クリスマス後の12月28日から1月17日までの間は、事実上のロックダウンが実施されることがクリスマス前の時点ですでに決まっていました。
これには、クリスマス後の感染拡大を防ぐため、そして冬休み期間(1月4日~17日)の集会を防ぐ狙いがあるようです。
特に大勢の人がパーティーを開催すると予想されていた大晦日は、12月31日19:00から1月1日6:00まで外出禁止令が出されました。

しかし、5人以下のパーティー開催については禁止令が出ていなかったため、
「19:00以前にパーティーを始めればいいのではないか」と考えるポーランド人も多く、
それでは外出禁止の意味がない、パーティーを黙認しているようなものだ、などと不満の声もあがりました。

コロナ禍で生じた大きな変化

▼社会のデジタル化

外出自粛は、日常生活のデジタル化に大きな影響を及ぼしました。
ポーランド人の約半数がコロナ以前と比べインターネットをより集中的に利用していることが分かっています。
業務を完全に遠隔勤務へ移行した企業もあるほか、オンライン授業が普及したことにより、電話による受診の可能性、
さらにはオンライン・電話による公共手続きが今後一般的になる可能性もあります。

▼サイバー犯罪の増加

インターネットの利用増加と社会のデジタル化が進んだことにより、
サイバー犯罪が増加したことが分かりました。

世界中で起こるサイバー犯罪のうち、83%がウイルスに感染した電子メールを使ったもので、
うちポーランドでの発生は世界全体の7%を占めています。

▼健康状態

残念ながら、全ての人が感染拡大によって生活習慣を変えたわけではありません。
調査の対象となったポーランド人の半数以上が、2020年3月以降、
生活習慣病の発症リスクを高めるような生活をしてしまっていると述べています。
主に、塩辛いスナック菓子や甘いものをよく食べる、ストレスを溜めがちになっている、座りがちな生活をしているといった傾向が見受けられます。

これらの因子は、高血圧、糖尿病、運動系疾患および肥満の発症リスクを増加させます。
今年6月の調査で、約38%のポーランド人が上記の生活習慣病リスクを懸念していると回答しています。
こういった影響を受け、現在ポーランドでは生命保険加入への関心が高まっているそうです。

パンデミックの影響で、病院や診療所の訪問形態も変化しました。
医療施設におけるクラスターを避けるため、軽い風邪等の症状がある場合は、テレポーターで医師に連絡することができるシステムが追加されました。
患者が予約を入れると、医師が電話で病状を聞き、指示を出すというものです。 

緊急時に病院を受信する際は、温度を測定できる専用の入口を通り、新型コロナウイルス患者に見受けられる症状の有無、感染者との接触、海外での滞在歴等に関するアンケートを記入します。
救急車で搬送される場合は、救急患者が新型コロナウイルスに感染している可能性を鑑み、救急隊員はカバーオールを着用して搬送するとのことです。

ポーランドをはじめ、日本や全世界でも新型コロナウイルスの影響は顕著になっています。
2021年には少しずつ日常が戻ってくることを、願ってやみません。


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