ポーランドの初等・中等教育制度

ビジネス

2017年に行われたポーランドの教育制度変更により、日本の中学校に当たる教育機関(ギムナジウム)がポーランドでは廃止されている。
それまで中学校に相当していた学年は、小学校と高校(リツェウム)に振り分けられた。

ポーランドの教育機関はすべてISCEDと呼ばれる、国際標準教育分類(International Standard Education Classification)に基づき、習得した教育の程度を分類する制度に即して設定されている。
ISCEDには8つのレベルがあり、小学校相当から博士課程に相当するレベルをカバーしている。

ポーランドの義務教育は、幼稚園年長の1年間と初等教育の8年間を合わせた9年間である。
6歳の児童は、幼稚園、小学校の就学前教育機関(Zerówka)、あるいはその他の適切な教育機関で、1年間の就学前準備教育を受けることが義務付けられている。
さらに、ポーランドでは「義務教育と「義務学習」が別物として扱われている。
義務教育とは8年制の小学校への就学義務を指し、7歳から15歳までの児童・生徒に適用される。
一方で
義務学習は、15歳から18歳までの生徒に適用され、高校または学校外(例えば、雇用主のもとでの職業訓練など)での実施が義務付けられている。

教育段階

早期教育と保育

0~3歳児向けの施設には、保育所やキッズクラブが挙げられる。
保育所・キッズクラブに通うことは任意である。
これらの施設は教育制度の一部とみなされないため、教育省ではなく家庭・労働・社会政策省の管轄下にある。

3~6歳の子供のための施設としては、幼稚園、小学校就学前教育部門(小学校0学年(Zerówka)とも呼ばれる)、就学前教育機関が挙げられる。
3~5歳児の就学前教育は任意である一方、6歳児からは義務教育であり、就学前に1年間の就学前教育を受けることとなっている。
3〜5歳児は、保護者が幼稚園での保育サービスを利用すると決めた場合、
その地域の幼稚園に入園する権
利が認められている。

初等教育(ISCED 1+ ISCED 2)

7歳から15歳までの8年間続く小学校は、ISCEDレベル 1とISCED レベル2(初等教育+中等教育)をカバーする単一の組織である。
6歳から小学校0年生に通うかどうかは、保護者が選択することができる。
6歳児が小学校で学習を始めるには、少なくとも1年間の幼稚園教育を修了していなければならない。

8年制小学校教育は、1~3年生(早期学校教育)、4~8年生(教科別学校教育)の2段階に分けられる。
小学校8年生の終わりには、「エグザミン・ウスモクラシスティ」(egzamin ósmoklasisty)と呼ばれる全国学力試験が実施される。

中等教育(ISCED 3)

8年制小学校を卒業した生徒の大半は、義務教育ではないものの、一般中等教育学校または職業中等教育学校で教育を受ける。
生徒たちは18歳まで義務学習を受ける必要があるが、必ずしも学校に通うことで修了する必要はない。

8年制小学校の卒業生を対象とする中等(後期)学校は以下の通りである:

  • 4年制高等学校(ISCED 344)
  • 5年制高等専門学校(ISCED 354)
  • 3年制専門学校(第1レベル)(ISCED 353)
  • 2年制職業訓練学校(第2レベル、第1レベルの職業訓練学校卒業者対象)(ISCED 354)

4年制高等学校および5年制高等専門学校の生徒は、卒業後にマトゥーラと呼ばれる外部試験を受ける権利を得る。
この試験に合格して中等教育修了証書を取得することが、高等教育機関への入学条件となる。

2年制職業訓練学校(第2レベル)の生徒も同様に、マトゥーラを受験する資格を有す。
一方で、第1レベル・第2レベルの職業訓練学校および専門学校の生徒には、職業試験を受けることが義務付けられている。試験に合格すると、職業教育免状が授与される。

後期中等教育(ISCED 4) (主に再学習を希望する大人向け)

ポーランドの教育制度において中等教育に分類されているが、再学習を希望する大人が入学をすることが多い教育機関である。
後期中等教育学校は、初期中等教育を受けた人を対象としており、試験に合格した後、職業教育免状を取得することが可能となる。
就学期間は1年から2年半であり、修了後後は職業学校や専門学校を修了した生徒と同じ職業試験が受験できる。

学期

学年度は9月1日に始まり、8月31日まで続く。
ただし、授業が実施されるのは9月1日から6月中旬までで、学年末までの残りの期間は2か月間の夏休みとなっている。冬休みは年や県によって異なり、2週間ほどである。
冬学期と夏学期の2学期制が採用されている。

評価制度

小学校の最初3年間は、成績表という形での評定はつかない。
代わりに、教師がシールや花丸を使用して、評価をしたりほめたりすることがある。
通常、一般的な授業は1~2人の教師が担当する。

小学校4年生から中学校卒業までは、1~6(数が大きい方が尚良)の成績評価システムを採用している。
成績に考慮される項目は下記の通りである(細かなルールは各学校で定められる):

  • 宿題提出
  • プロジェクト(マルチメディアを利用したプレゼンテーション、ポスター発表)
  • 作文、レポート提出
  • 口頭試験(各授業の始めに数人を指名し直近3回の授業について質問すること等もある)
  • 小テスト(2~3回の授業毎に行われる抜き打ちテスト)
  • テスト(教科書の一部から出題され、事前に決められた日程で実施)
  • 試験(学年末等のまとめの試験だが、あまり実施されていない)

1~6の採点基準はパーセンテージやポイントに基づいた絶対評価で、教師が個別に決定する。
最も一般的な採点基準は以下の通りである。
0:試験を欠席またはプロジェクトがの未提出
1: 0-39%
2: 40-54%
3-:55-69%
4: 70-85%
5:86-99%
6:100%
成績は通常、教師が定める条件(追試や追加課題の提出等)のもとで改善やことができる。
各教科の最終成績は、1学期と2学期の全成績の平均である。

一般的に、各学期末には生徒の行動評価も行われる。
各クラスで、生徒はクラスメイト(自分自身を含む)を評価するアンケートを受け取り、評点をつける。

なお、以下の国家試験に関しては、1~6段階評価ではなく、パーセンテージで評価される:

  • 8年生試験(小学校卒業後の試験)
  • マトゥーラ試験(中等教育修了試験)

教科

小学校1~3年生:

  • 体育
  • コンピューター
  • ポーランド語
  • 理科
  • 数学
  • 現代外国語(英語)
  • 美術
  • 音楽

小学校の4年生から8年生:

  • 数学
  • ポーランド語とポーランド文学
  • 歴史
  • 理科(5年生まで)
  • コンピューターサイエンス
  • 芸術
  • 技術
  • 音楽
  • 体育
  • 個別指導クラス
  • 地理(小学校6年生から)
  • 生物(小学校6年生から)
  • 物理(小学校6年生から)
  • 科学(小学校6年生から)

任意教科:

  • 宗教
  • 倫理
タイトルとURLをコピーしました