ウクライナの家具産業は、海外市場でも人気、競争力があります。
生産高の50%以上が輸出されており、大半はEU諸国(ポーランド、ドイツ等)向けです。
家具産業には5,000社を超える企業が参入しており、10万人以上が家具産業で雇用されています。
ウクライナ森林資源庁によれば、2020年の調査時点で、ウクライナ国土の16%程度が森林で覆われています。
総面積は950万ヘクタールで、これはヨーロッパ大陸の中では9番目に大きい数値です。
特に森林面積が大きいのはウクライナ北部、西部です。
主にマツ、ブナ、オーク、唐桧が生育しています。
ウクライナは、2,000万立方メートルもの材木を生産していて、同国内の家具メーカーの需要を満たすことができています。
ウクライナ産家具製品の輸出額は、2016年から2020年にかけて約2倍の7億5000万ドルとなり、ヨーロッパ内の輸出が93%を占めています。
家具産業は、合板、ファイバーボード、OSBといった木材を多く消費します。
Kronospan や Swiss Kronoといった世界的な家具ブランド向けの板材も、ウクライナで製造されています。
様々な種類の家具がある中で、ウクライナでは主に以下の種類が生産されています:
(パーセンテージは家具市場に占める割合)
- 室内装飾家具:21%
- オフィス家具:13%
- キッチン家具:10%
- その他家具、装飾品: 56%
高品質で比較的安価なウクライナ産家具は、ウクライナ国内だけでなく、EU諸国でも評判を集めています。
ロシアによる軍事侵攻開始以前は、ウクライナの家具産業は世界的にも知名度を有し、輸出規模を着実に拡大していました。
家具産業は、同国の国家輸出戦略にも明記されているほど重要な産業の一つでした。
同国の家具市場規模の6割を占めるウクライナ家具製造業者協会(UAFM)によると、2021年の家具輸出額は10億5000万ドルに達し、2020年と比較して40%増となりました。
過去6年間、ウクライナの家具産業は拡大傾向にあり、ウクライナには大手国内・外資系家具企業が徐々に集積してきました。
国内の大手家具ブランドは、下記の通りです。
Kitass、Diza、Esteco、Furniture Park、BONART、Novy Style、PrimaLetto、TENTONI、WOODSUN、Yavorina Furniture Factory、Polymerservice、ARTBUZ creative workshop
(家具産業についての詳細はこちらからご覧ください)
2022年に入っても家具産業の輸出額は順調で、1月、2月の輸出額は前年度比で +7% ほど増加していました。
堅調な滑り出しが見られたところでしたが、ロシアによる軍事侵攻が始まると、1万社もの企業から成る家具産業は大きく影響を受けました。ゴストメル、イルピン、チェルニヒフ、ハリコフ、スミィといった都市において、生産の停止、物流の混乱、原材料の不足、生産能力の喪失などが生じてしまいました。
戦時下という厳しい状況にも関わらず、ウクライナ産の家具は今でも120か国以上に輸出されています。特にポーランドは、主要輸出先の一つで、家具輸出量の34%を占めています。二番目に大きな輸出先はドイツで、輸出量は16%を占めています。
統計調査によれば、ウクライナ産の木材製品の輸出が最も期待できる市場は、ドイツ、米国、ポーランドであり、両国間取引のさらなる成長が見込まれます。
ウクライナの木工・家具産業の主役は、大きな工場を保有する大企業だけではありません。キッチン用品や基本的な家庭用品、工芸品やデザイン家具まで、さまざまな商品を製造する中小規模のメーカーが数多く存在しています。
LIGNO、Rubakha_wood、FromUkraineなどのメーカーや、ウクライナ産メーカーの様々な製品が購入できるオンラインプラットフォームVYROBYなどが注目されています。
出典
1.https://ukraineinvest.gov.ua/uk/industries/furniture/
3. https://ukraineinvest.gov.ua/uk/news/нові-можливості-для-меблевої-промисл/
4. https://vue.gov.ua/Україна:_лісова,_деревообробна_та_целюлозно-паперова_промисловість