ロシアによる軍事侵攻が開始された2022年、戦時下にも関わらず成長を遂げた唯一の産業はITでした。
ウクライナIT連盟によれば、ウクライナの輸出額に占めるITサービスの割合は47%で、IT産業だけで30万人以上の従業員が従事しています。
2023年に入り、ITスペシャリストの採用は13%ほど減少しましたが、企業の採用規模は縮小していません。
この記事では、ウクライナのIT産業で求人数が多く、需要が高い職種について説明します。
職種
1.ソフトウェア開発者
ソフトウェア開発は、IT産業の中でも最も募集が多い職種です。新規アプリやWebページなどの開発には、ソフトウェア開発者が有する知識や経験が必要不可欠です。
必要なスキル、能力には、C、C++、C#、PL-SQL、JavaScriptといったプログラミング言語や、データベースに関する知識、CSS・HTMLの活用方法が挙げられます。
ソフトウェア開発者として活躍するには、上記の基本的なスキルや能力の理解が必要です。
2.データアナリスト
「データは21世紀の石油である」とも言われるように、データ分析により得られる知見は、企業にとって益々重要な存在となっています。
データアナリストは、統計学を活用し、ビジネスデータを分析して様々な提言を行います。
分析作業には、以下のような工程が含まれます。
- 業務改善に繋がる提案をするために、顧客の代わりにデータを分析する
- 外部データも含めた顧客データから、営業機会に繋がるような分析を行う
- 顧客や社内データを分析し、システムの生産性を確認する。さらに、システムの活用方法についての改善案や、これらシステムを効率的に更新する方法を提案する
3.AIエンジニア
人工知能が急速に普及する現代では、人工知能を扱えるスペシャリストの需要が高まっています。
AIエンジニアは、複雑な課題解決のために、機械学習やニューラルネットワークに基づいたシステムを開発・導入します。例えば、
- 言語、画像、手書き文字の認識
- データ保護におけるAIの応用
- コンピュータゲーム、教育におけるAIの活用
- 仮想現実の作成
- 人工免疫システムの開発を始めとする、医療への実用
4.サイバーセキュリティ
サイバー攻撃、データ漏洩の危険性が高まっている今、サイバーセキュリティの重要性は日に日に高まっています。
企業の機密情報、ネットワークを外部攻撃から守り、サイバー攻撃を未然に防ぐための取り組みを行う、サイバーセキュリティの専門家が求められています。
5.機械学習エンジニア
機械学習エンジニアの主なタスクは、機械学習や深層学習を用いて課題解決を行うことです。
機械学習モデルの開発に加えて、開発チームとの協働が求められます。機械学習には、以下のような様々な応用範囲があります。
- 顔認証や指紋認証といった認証分野
- 翻訳分野
- 画像、文章、音楽などの製作
機械学習エンジニアが有する基本的なスキルセットは以下の通りです。
- Python言語への理解
- AWS/Google Cloud/Microsoft Azureに関する知識
- scikit-learn、pandas、NumPy、Matplotlib、Plotlyなどの共通ライブラリの活用方法
- 線形代数、統計学、最適化に関する知識
ウクライナは世界のIT産業においてリーダーポジションを保ち続けています。
ソフトウェア開発者、データアナリスト、AIエンジニア、サイバーセキュリティスペシャリスト、機械学習エンジニアは、現在ウクライナで最も需要が高い職種です。