ICTコンテストでポーランドの学生チームが準優勝

アラブ首長国連邦で2021年12月に行われた第2回Open Data Addathonコンテストで、ポーランドの学生チームが準優勝を飾った。

本コンテストでは、「大都市の未来」と題し、2,500件のデータセットをタスクとして与えられたICT分野の学生、研究者、プロフェッショナルで構成されたチームが、現代社会の主要課題に対する革新的解決策の開発力を競う形で開催された。

ポーランドの大手メディアOnet.plは、主要課題として取り上げられたのは環境汚染、安定したエネルギー供給、効果的な交通手段、安全保障等多岐に渡ったと報じている。

コンテスト参加チームは、2週間でデータを分析し、問題を特定した上で、解決策草案を発表した。準優勝となったポーランドチームは、ワルシャワ工科大学およびポーランド日本情報工科大学の学生で構成され、地図上のバス停の配置を最適化するためのアプリを開発した。

本アプリは、地図上で目的に到着する上でもっとも適した交通機関を自動選択する機能、公共交通機関のチケット購入、タクシーの予約等のMaaSサービスも兼ね備えている。

アブダビ市民が短い距離でも常に車移動を選択することに疑問を感じた学生が、住民との会話を通して発案したアイディアとのことで、公共交通機関の効率化、環境汚染対策、また交通渋滞改善といった効果が見込まれる。

編集後記

ジャカルタやマニラ等、アジア諸国の首都で発生するイメージが強かった交通渋滞ですが、近年ワルシャワの都心部、クラクフ市内でも交通渋滞が問題視されるようになっています。

郊外への住宅地拡大や、コロナウィルスパンデミック等で公共交通機関ではなく車で通勤する人々が増たことが渋滞の主な原因とされています。、在宅勤務者が多い昨今ですら、通勤時間帯は全く車が動かないこともしばしばです。

空気汚染も問題となっているクラクフでは、汚染度が一定のレベルを超えると市内の交通機関を無料にする取り組みを行なう等、車利用から公共交通機関への切り替えを推進する取り組みもスタートしています。

パンデミック後に公共交通機関のチケット料金が大幅に上がったことも、車利用の増加に拍車をかけているのかもしれません。

2019年に、それまで2.8zl(約84円)であった市内のバス・トラム20分チケットが3.6zl(約108円)となった後、2021年3月にはさらに4zl(約120円)に値上がりをしています(クラクフ市の場合)。筆者の周りにも、2021年の値上げを機に車通勤に切り替えた人が、何名かいます。

パンデミック下でコストの大幅増加、使用者の減少で、特に厳しい立場に置かれているトラム・バス会社。更なる値上げとなれば、市内の交通渋滞もさらに深刻化してくる可能性が大きいでしょう。

ポーランドの「大都市の未来」について、再考する必要が出てくる日も近いのかもしれません。

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