【コロナ危機で注目】中央ヨーロッパのリモートワークハブ

ビジネス

〇コロナ危機でも伸び続ける需要

 新型コロナウィルスの影響で多くの企業が打撃を受けているなか、成長を続けている業界がある。コールセンター・カスタマーサポートセンター業務を委託受注する、ビジネスサービス部門だ。自社で従業員を抱えるよりもリーズナブルである、リモートワークの従業員を提供できることが需要増の要因だ。チェコ共和国に拠点を置く上記業種企業の90%以上が新規採用を続け、顧客からの需要も特にアジア地域から12%程増加しているという。「危機の時代において、より多くの企業が”こちら側”に移行しています」と話すのは、チェコ共和国で多国籍企業Atlas Copcoの金融サービスセンターを経営する、Roman Pavlousek氏だ。

〇アジアの同業他社と比べた地理的メリット

 アジア各地には、より低コストで同様のサービスを提供する企業が多数存在している。なぜ中央ヨーロッパの企業が特に売り上げを伸ばしているのか。それは、地理的・時差的メリットである。中央ヨーロッパは、多くの多国籍大企業が拠点を持つ西ヨーロッパはもちろん、北アメリカとの時差もアジア各国に比べると少ない。また、多言語を操る人材の豊富さもメリットとして挙げられている。エールフランス航空、KLMオランダ航空といった巨大航空会社から、エクソンモービルといった総合エネルギー会社まで、幅広い業界が同地域にサービスセンターを有している。

〇ポーランドの現状

 中央ヨーロッパの中で高い経済成長率を維持するポーランドも、例外ではない。コロナ危機が叫ばれる中でも雇用が鈍化する気配はなく、シティ銀行ヨーロッパのサービスセンターマネージャー、Iwona Dudzinska氏は「コロナ危機は、弊社の成長計画に変化をもたらしてはいません。毎月100名ほどの採用を続け、今後もオンラインでの雇用を続けます。」とコメントしている。

〇急成長とタイミング

 サービスセンター業界は、25年ほど前にゼロの状態から急激に成長し、現在では中東欧地域で75万人ほどの雇用を生み出している。新型コロナウイルスによる影響で、多くの企業が従業員の働き方、コストの見直し、ビジネス効率性の改善を図る中、以前より多くの仕事をオフィス外で行える可能性を認識する企業が増えている。
ポーランドにおいては、同業種の従業員のうち3分の2が、コロナ危機以前からリモートワーク可能な環境にあったという。対面での接触を避け、業務のデジタル化を加速させる世界のトレンドにより、同地域はコロナ危機終息後もビジネスサービスハブとして発展してゆくであろう。

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