75年の歴史を持つポーランドのフィアット自動車工場の閉鎖に関する報道が2024年1月4日に欧州の複数メディアで伝えられた。本工場は、フィアット・クライスラー(Fiat Chrysler)とプジョーシトロエン(Peugeot Citroën)の合併により誕生したステランティス(Stellantis)傘下のFCA Poland工場であり、約468人の雇用に影響を与える見通だ。
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ビエルスコ=ビャワ(Bielsko-Biała)に位置する本工場は、1948年から稼働しており、ポーランド最大の自動車生産拠点としてエンジンの生産を中心に様々なモデルを製造してきた。その中には、かつてポーランドの文化的なアイコンであったFiat 126p(愛称Maluch)や、Fiat 500、Abarth 500、Lancia Ypsilonなどが含まれる。
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Fiat 126pは「ちびっこ」という意味の「Maluch(マルフ)」として親しまれ、Fiat 500はアニメ「ルパン三世」の主人公の愛車としても知られている。
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この工場の閉鎖は、欧州委員会による内燃エンジンの排ガス規制と内燃エンジンの受注減少に起因しており、ステランティスは2024年を通じて段階的に生産を削減する計画だ。従業員の一時解雇は2024年2月から12月にかけて実施され、全従業員に影響する見込みとなっている。
環境への配慮と規制の厳格化が進む中、ポーランドの自動車産業は電気自動車やハイブリッド車の製造に焦点を当て、技術革新や生産プロセスの近代化に積極的に投資している。これにより、競争力が向上し、国際市場での地位が強化され、雇用機会の増加が期待される。
編集後記
市民から「ポーランドのFiat」と呼ばれ親しまれてきたMaluchを都市部で見かけることは少ないが、目につくためにポーランド人の友人からは懐かしみの声が上がる。
近年ではそのレトロな見た目からレトロカーとしての付加価値もついていると聞いている。
長年ポーランドで生産されてきた同車の工場が閉鎖されるニュースはポーランドでも哀愁のこもったニュースとして報道されている。
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