ウクライナのチョコレート市場：現状と展望

ウクライナ国内のチョコレート人気は高く、不況でもチョコレートの需要は底堅いと言われていました。
しかし、ウクライナではチョコレートの生産量、輸出量が減少しており、市場の縮小が見られています。

内的要因、外的要因のそれぞれが存在していますが、
国内経済・政治の不安定さに加え、2022年2月24日に始まった、ロシアの軍事侵攻に起因する部分があります。

ウクライナ産チョコレートの市場・輸出状況
代表的なウクライナのチョコレートメーカー
戦時下におけるウクライナ産チョコレート輸出の現状
出典

ウクライナ産チョコレートの市場・輸出状況

ウクライナでは、国内製菓会社がチョコレートを製造しています。
複数企業による健全な競争が、価格、品質の安定をもたらしています。

チョコレート市場は国内製菓会社だけでなく、
海外投資家にとっても魅力的なマーケットとなっています。　

チョコレートの生産量は、ウクライナの菓子市場の28%を占めています。
2015 – 2019年の間、ウクライナのチョコレート輸出量は年間成長率9%でした。
これは、世界の平均成長率である4%と比較して、2倍近い数字です。

ウクライナ製チョコレートの輸出先としては、EU諸国（輸出量の39%）、CIS（独立国家共同体、輸出量の36%）、アジア諸国（輸出量の19%）となっています。
カザフスタン、ルーマニア、ブルガリア、ジョージアといった昔からの取引国に加え、EU圏を含めた様々な国との取引が増加しています。

国別での2015 – 2019年における輸出量成長率は、以下の通りです。

米国：+64%、ハンガリー：+79%、ブルガリア：+54%、
ドイツ：+32%、ポーランド：+30%、ルーマニア：+28%

2021年には、チョコレート及びココアを含む食料品の輸出額は1.84億ドルで、前年度比で+ 16%増加しました。

厳しい国際規格を満たし、品質が高いと言われるウクライナ産チョコレートの評判は良く、世界50か国以上に輸出されています。

代表的なウクライナのチョコレートメーカー

ウクライナ国内には、代表的なチョコレートメーカーが複数存在します。

シェア第1位は1996年創業、Ukrprominvestグループに属する製菓企業である Rochenです。
ウクライナ及び東ヨーロッパで有数の規模を誇る同社は、「グローバル製菓企業100選（2017年）」で24位に選ばれるなど、確かな実績と知名度を有します。
同社の工場はウクライナ各地（キエフ、クレメンチュク、ビニツァ）、リトアニア（クライペダ）、ハンガリー、ロシアに位置しています。

シェア第二位の企業は、1991年創業のAVCです。
創業時は製菓企業へチョコレートを提供するのみでしたが、同社でも菓子類の製造を開始。
大手製菓企業へと成長しました。

世界有数の製菓企業として、先述のグローバル製菓企業ランキングでも 67位に選ばれています。
同社の工場は、ルハンスク（既に閉鎖済）、ムカチェヴォ、ドニプロペトロウシクに位置しています。

Rochen、AVCと並ぶ三大製菓企業として、1997年に創業したKontiも挙げられます。
グローバル製菓企業ランキングでは43位に選ばれています。
コンスタンチノフカに製造工場を持ち、物流施設をドニプロに有しています。

ネスレグループ傘下の企業であるSvitochもウクライナ国内ではよく知られています。
リヴィウにて1962年に創業後、複数企業との合併を経て、現在の社名であるSvitochへと変更しました。
その後、1998年にネスレグループの傘下に入っています。

なお、上記のメーカーのチョコレート製品は、
ポーランドのスーパーマーケットにて今日でも継続的に販売されています。