ウクライナでの国際輸送の機会

ウクライナ侵攻

ロシアによる軍事侵攻はウクライナ経済を大きく揺るがし、外交活動や物流も含めた広い分野に影響を及ぼしました。

空港や港の閉鎖により、物流手段の代替策を探す必要が生じました。そのため現状、複数の物流手段を組み合わせることで対応がなされています。

海上輸送

海で隔てられた国から物資を輸入する際、海上輸送または航空輸送に頼らざるを得ません。しかし、黒海ルートが閉鎖されてしまっている現状では、海上輸送は使用できません。

ウクライナは小麦の主要生産国であり、他国との協定締結を通じて輸出を行ってきましたが、最も採算性の取れる輸送手段が封じられています。輸入についても同様で、中国や東南アジア諸国からの輸入も制限されてしまっています。

こうした現状で、どのように中国や東南アジアからの輸入手段を確保しているのでしょうか。

2020年の始め、中国やアジア諸国から物資を仕入れる際の輸送コストを抑えるには、海上コンテナ輸送が最適でした。

しかし、新型コロナウィルスの発生以降、物流の常識は大きく変わりました。中国でのコンテナ不足により海上運賃が数倍にも高騰、中国からの物資輸入における最安輸送手段が鉄道となったのです。

ただし、鉄道輸送はロシアを経由しており、軍事侵攻以降は利用できなくなりました。

現状、中国やアジア諸国からの貨物は、海上コンテナでポーランドもしくはルーマニアに届けられ、T1 申告書を発行後、陸路でウクライナに搬入されます。

アメリカからの海上輸送も同様で、西海岸に位置するヨーロッパの港への海上輸送後、陸路でウクライナに運ばれています。

航空輸送

軍事侵攻の開始により、ウクライナの民間空港はすべて閉鎖されました。アメリカやアジア諸国からの貨物は、ヨーロッパ各地の空港までは航空輸送、そこからウクライナまでは陸上輸送という形態を取っています。

ウクライナに最も近く立地する空港としてはポーランドまたはルーマニアが挙げられます。

航空輸送で輸出入する際の詳細な物流スキームは、下記の通りです。

ーウクライナからの輸入ー

航空輸送される貨物は軽量なものが多く、同じく海外宛に輸送する貨物をグループ化して運送することが効率的です。

グループ化された貨物が全てウクライナで集荷・通関できる状態になったら、航空会社に航空貨物を発注し、航空貨物運送状(AWB)が発行されます。

輸出通関では、税関検査官による呼びかけがない限りは、原則として輸送トラックが税関ターミナルに入る必要はありません。

停電や長時間の空襲など不可抗力の事態が発生しない限り、通関手続は迅速に行われます。
全貨物が通関を完了したのち、輸送トラックはウクライナの税関領域を通過します。

EUの国境地帯ではT1申告書が発行され、航空輸送で運ばれる貨物の一部は国際空港の一時保管倉庫に送られ、航空便への積載を待ちます。

ーウクライナへの輸出ー

ヨーロッパ各地の空港に航空輸送で届いた貨物を、ウクライナに輸送する際の具体的な流れについても解説しましょう。

ウクライナからの輸出貨物と同様に、軽貨物や小型貨物は航空輸送で運ばれる場合が多いです。
空港からウクライナへの陸上輸送コストを節約するため、グループ化された貨物として配送されています。

T1申告が完了した後、空港倉庫から陸路でウクライナへ貨物を搬入します。ウクライナの税関領域を通過するためには、荷受人または通関業者が、予備申告書と一般到着申告書(GAD)を電子的に作成する必要があります。

各種書類の確認後、輸送トラックは税関に送られ、輸送貨物の輸入通関が行われます。必要な税関手続きがすべて完了した後、貨物は受取人に引き渡されます。

出典

Особливості логістики міжнародних перевезень у воєнний час | CargoSupport
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