ポーランドにおけるEUならびにEEAとの医薬品並行輸入

欧州連合(EU)および欧州経済領域(EEA)内では、医薬品の合法的な取引形態のことを、並行輸入と呼ぶ。ポーランドでは、2004年のEU加盟以降、並行輸入が可能となった。

パッケージ表示について

ポーランドで販売される並行輸入医薬品は、ポーランド語のパッケージに再包装され、ポーランド語の説明書が添付される。製品に加工が行われることはなく、再包装の際、チューブ、小袋などの内包装に損傷がなく、製造元で販売された時と同じ状態であることが要求される。
外包装に入っている説明書には、ポーランド語の表記が必要であり、それらは原文の説明書と一致していなければならないことになっている。説明書の翻訳を更新する義務は、並行輸入業者にある。
さらに、ポーランドで販売される並行輸入品のパッケージには、ラベルに次のような文言を付すことが義務付けられている。
「重要!内包の説明書を保管すること。外包装に記載された情報は外国語です。(原文:Uwaga! Należy zachować ulotkę. Informacja na opakowaniu bezpośrednim w obcym języku.)」
これは、説明書に記載されている情報が、外包装に記載されている情報よりもはるかに多く詳細であるため、説明書を保管することが義務付けられていることを患者に知らせる必要があるためだ。

ポーランド産の医薬品はカラフルで目を引くパッケージだか、並行輸入された医薬品の多くには白黒の地味なパッケージが採用されている。これは、輸入業者ができるだけお金を掛けずにポーランド市場に商品を流通させるための工夫である。

価格差について

多くの場合、並行輸入された医薬品は、国産の純正品よりはるかに安価で流通している。そのことから、ポーランドにおいて医薬品を並行輸入する主な目的は、まさに価格を下げることであると言える。

EU諸国間に現存している薬価差により、ポーランドへの薬品の並行輸入にメリットが生まれている。。通常、医薬品は価格の安い国で購入し、高い国で販売される。海外から医薬品を輸入するのは非常に高価な手続きのように思われるかもしれないが、これは間違った認識であることも多い。
ほとんどの場合、すべての法的手続き、再包装、説明書の翻訳と定期的更新といった並行輸入のためのプロセスは、国内で一から医薬品を製造するよりはるかに安価である。

その逆に、ポーランドで生産されている安価な医薬品が、大量にEU並びにEEA領内に輸出されるケースもある。これが原因で、ポーランドでの医薬品の不足につながる事態が過去に発生したケースもある。

規制について

EUには並行輸入に関する正確な規制は存在しないものの、ポーランドでは並行輸入は薬事法で規制されている。

薬事法による規制のひとつに、並行輸入は卸売業者が行うものであり、一般の薬局が卸売業者に医薬品を販売することはできない、という定めがある。薬局から並行輸入品を受け取ることができるのは、患者のみである。

一時期、違法であるにもかかわらず、薬局が卸売業者や海外にポーランド産の医薬品を直接販売し、問題となったこともあった。

【編集後記】

ポーランドでは、日本以上に家庭用医薬品が身近な存在です。
写真は、コンビニ(Zabka)の売り場ですが、上から2段目までにびっしりと痛め止めや風邪薬といった医薬品が陳列されています。

タイトルとURLをコピーしました