【ポーランドの温泉地】クリニツァ・ズドルイ

文化

 日本同様ポーランドにも、温泉水を飲むことができる有名なスパリゾートがある。その1つが、ベスキド・ソンデツキ地域に位置するクリニツァ・ズドルイだ。この地の源泉の効用は18世紀から知られており、入浴や飲泉が推奨されてきた。2017年のマウォポルスカ県の調査によると、この地はポーランドの5つの主要観光地のうち、最も多くの旅行者が訪れた場所であり、2018年から2019年にかけては過去最高の旅行者数を記録したという。

 クリニツァ・ズドルイには23箇所の源泉があり、それぞれ胃腸疾患・生活習慣病・貧血等への効能があるとされている。中でもおすすめの観光スポットは、Stary Dom Zdrojowyという宿泊施設。中心街のメイン通り沿いにあり、飲用源泉の出るポンプのちょうど向かい側に位置している。建物は1889年に建てられたネオ・ルネサンス様式で、リウマチや貧血の症状改善に効果があるとされているMieczysławという炭酸カルシウム泉を楽しむことができる。

 Stary Dom Zdrojowyの近くには、ニキフォル美術館(Muzeum Nikifora Krynickiego)という美術館がある。ニキフォルは1920年代初期の画家で、2000作品以上の素朴派油彩画を残しており、同美術館では彼の原画や実際に使用されていた仕事道具を見ることができる。 
 クリニツァ・ズドルイ中心部にある散歩道は、パルコバ山(標高741m)の山頂まで続いている。1810年に整備されたこの道は、今日まで当時のままのルートが残っている。道中には西洋風の東屋や聖母マリア像などが点在しており、楽しみながら散策することができる。頂上まではケーブルカーも敷かれており、車内からはべスキド地域を一望できる。

 今回紹介した観光スポットは、この街のほんの一部に過ぎない。クリニツァ・ズドルイはスパリゾートとして200年以上の歴史を誇り、街の中では、免疫・殺菌効果の高い針葉樹の天然アロマを存分に楽しむこともできる。現在は療養設備も設置され、ポーランドの温泉療法の地としてその歴史を語り続けている。

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