ヴィアンキは、6月にクラクフのヴィスワ川沿いで開催される夏至のお祭りで、コンサートやワークショップ、花火、コンテスト等が行われます。ヴィアンキのルーツは、太陽の夏至に関連する古代スラブの儀式に由来しています。
その儀式の呼び方は地域によって異なりますが、最も一般的な呼び方は「ノツ・クパウィ(クパワの夜)」です。「クパワ」とは、儀式で使用される大きな藁人形を指します。
ノツ・クパウィでは、火の神と水の神にお祈りを捧げます。お祈りを捧げると、体が清められるとされていました。また、豊作祈願や子孫繁栄を祈り、太陽と月に感謝を捧げる機会でもありました。
ノツ・クパウィの様子
まず焚火に火をつけます。参加者は、体を清めるために焚火を飛び越えたり、焚火を囲んで踊ったりしました。また、動物を生贄として焚火の中に入れる場面もありました。
この日は、一年の中で唯一恋愛が許される日だったため、女性にとっては将来の夫を探す絶好の機会でもありました。女性たちは花や木から花冠をつくり、その冠を身に着けて一通り踊ったあと、冠を川に流します。自分が流した冠を男性が拾い上げることができれば、その女性は早く結婚できるとされ、逆に冠が川に沈んでしまうと、その女性は生涯独身か晩婚になると言われていました。
冠を拾った男性は相手の女性を探すことができ、カップルが成立すると、2人はシダの花を探しに散歩に出かけます。スラブの伝統でシダの花は縁起が良いものとされ、散歩中にそれを発見できればとても運が良いとされていました。
また、この儀式を行うことで、池や湖に棲む鬼を退治することができ、安心して遊べるようになるという説もありました。
現代のヴィアンキは、日本のお祭りのように花火や出店、コンサート等を楽しむお祭りとなっています。当日は多くの少女たちが花冠をつけた姿を見ることができ、ヴィアンキの見どころとなっています。