人類は自然美無くして生きることができない、
なぜなら自然は人間の魂を構成する重要なパーツだからだ。
G.ドルスト
ウクライナは美しい文化や自然に恵まれた国です。
一本の記事で全てをまとめてご紹介することは難しいですが、訪れる価値のある、選りすぐりの名所を紹介します!
カルパティア山脈(ウクライナ西部)
カルパティア山脈は、欧州最大の山脈の一つに挙げられ、全長は280kmにも及びます。
地理的にもアルプス山脈と近く、生育する動植物など両者の共通点は多いですが、地質学的にはカルパチア山脈の方がはるかに複雑です。
ウクライナにはカルパティア山脈の東部が位置しており、山脈はリヴィウ、イワノフランキフスク、ザカルパティア、チェルニフツィ地方に跨っています。
なお、ウクライナに位置するのは、カルパティア山脈の中で最も幅の狭い部分となっています。
ウクライナ最高峰のゴヴェルラ山の頂上には、ウクライナの国章をあしらった巨大な十字架が立っており、国内では最も高い場所にある建築物です。
カルパティア山脈には、豊かな文化が残っており、古代のおとぎ話や、フツルス民族の歌、この雄大な土地を訪れるよう呼びかけるトレンビタ(フツルス族が使用する楽器の一種)の音色、壮大な景色が広がる同地を讃えるコロミジュカの歌が残っています。
レムリア湖 (ケルソン地方)
ケルソン地域のアラバト・スピットに素晴らしい湖があります。この湖の特徴は、水の色がピンク色をしていることです。アートのような美しさに加えて、死海でのヒーリング効果と同等の効用があることでも知られています。この珍しい水域は、レムリアンレイクまたはレムリア湖と呼ばれています。
貯水池のピンク色は、太陽光を使って β-カロテンを生成する単細胞藻類であるドナリエラの働きによるものです。夏の暑さで湖の水分が蒸発すると、ピンク色がより強調されて見えます。
引き潮になると、海岸には塩分を含んだ白い「砂」が大量に残ります。場所によっては、結晶がぶつかり合い、鍾乳石を形成することもあります。
レムリア湖の美しい湖畔には、毎年1万人以上の観光客が訪れ、多くの外国人も訪れます。美しい景色や健康改善効果を有する自然の奇跡とも言えるスポットで、ぜひ一度は訪れて欲しい場所です。
塩分含有量を死海と比較すると、同等以上の数値が見られます。レムリア湖の1リットルあたりの塩分含有量は300gで、死海の塩分含有量と比較して50g以上も多いです。
そのため世界的にも有名なリゾート地である死海と比べても劣らない、健康効果が期待できるのです。湖につかることで、皮膚疾患や呼吸器、関節や血管の治療や症状改善にも有効です。
また、レムリア湖の泥は、オーストリアやドイツのスパサロンで使用され、薬用・化粧品として認定されているなど、特に注目すべきものです。
レムリア湖の泥にはミネラルが豊富に含まれており、内臓の働きを活発にするほか、体全体の調子を整え、若返りや活力アップに貢献します。
聖なる山々(Holy Mountains) 国立自然公園(ドネツク地方)
シベルスキ・ドネツク川の左岸、スビャトヒルスク市近くに位置しています。「ドネツクのスイス」とも呼ばれ、ウクライナ東部の信仰の中心ともなっています。
自然が形成した奇跡と言われる白亜の山々は、多くの観光客を魅了しています。ちなみに、これらの白亜の山々は、2008年のウクライナ全土のコンテスト「ウクライナの七不思議」のトップ100に選ばれています。
過去には、修道士が洞窟を掘り、中に修道院を建てたこともあります。現在、スヴァトヒルスク大修道院の祠がここにそびえています。
白亜から成る崖の上には珍しい植物が生育しており、中でも白亜の松はウクライナのレッドリストに掲載されています。残存する松の木は、自然公園の象徴となっています。自然公園内には48種の希少植物が生育しています。
コロスチシフ採石場(ジトーミル地方)
キエフから105km離れたコロスチシフの近くに、ソ連時代から観光や映画撮影に使われてきた渓谷があります。
ひと昔は花崗岩を切り出すための採石場がありましたが、地下泉からの冷水の湧き出しもあり、ターコイズブルーの水を湛えた素晴らしい湖が広がっています。
花崗岩採石場の岩場は、スイス、カレリア、シベリアの光景を彷彿とさせます。岩石で構成される岸の高さは10メートルに達し、地元の人によると、湖の深さは20メートル以上である。
地元の人々にとっても、自然の美しさと静けさを体験したい観光客にとっても、非常に魅力的な場所となっています。
オレシュキー砂漠(ケルソン地方)
オレシュキー砂漠は、ヨーロッパで二番目に大きな砂漠です(ヨーロッパ最大の砂漠はルーマニアにあります)。
砂丘は七つのエリアに分かれており、それぞれ独自の気候や生態系を持つほか、小さなオアシスもあります。2010年には、国立自然公園に指定されました。
観光業も盛んで、ハイキングやサイクリング、乗馬、ドライブ、トロフィーレイド(オフロードの地形を克服する競技、原則としてオフロード車やバイクが参加)などが行われています。
プレバニフスキー高架橋 (テルノポリ地方)
このユニークな高架橋は、テルノポリ地方のプレバニフカ村近くに位置しており、ウクライナで最も美しい橋の一つに数えられています。
1867年から1918年まで、テルノピル地方はオーストリア・ハンガリー帝国に属しており、当時の政府はトランスカルパティア、ブコヴィナ、ガリシアでの鉄道網構築を推進していました。
1896年、ハリツク・ポディリアとブコヴィナを結ぶテルノピル-コピチンチ鉄道が敷設されました。この重要な鉄道の支線上に、テレボヴリャン地区プレバニフカ村に、9本の石造りの高架橋が建設されました。
この高架橋は、映画「ハリー・ポッター」に登場する高架橋と似ていることから有名になりました。スコットランドのグレンフィナン村にあるこの高架橋は、主人公たちが列車でホグワーツに向かう際のワンシーンで使われました。そのため、プレバニフスキー高架橋は “ハリー・ポッター橋 “と呼ばれることもあります。
シネヴィル湖 (ザカルパティア地方)
シネヴィル国立自然公園に位置し、高山に位置する氷河湖であるシネヴィル湖はカルパティア山脈の中では最大で、かつ最も美しい湖として知られています。
湖は降水量に応じて大きさが変化しますが、平均面積は4-5ヘクタール、平均深さは 8 – 10メートル、最大水深は22m です。
水は透き通っており、明るい青色に見えます。釣りは禁止されていますが、レイクトラウト、ニジマス、カワマスが生息しています。
珍しい施設として、サーカスなどでけがをした熊が休んだり治療をする、熊のリハビリセンターがあります。
ドニエステル渓谷 (テルノポリ地方)
ドニエステル川がポディルスク高地の岩を削り、形成されました。イワノフランキフスク、テルノピル、チェルニフツィ、フメルニツキーの各州の境目に位置しており、ウクライナ最大、ヨーロッパでも有数の規模を誇る渓谷です。
渓流からの高さは100mから250mにも及び、急勾配の岸壁が続きます。また、ドニエステル渓谷の領域内には、世界的に重要な生物種が約100種類存在します。珍しい岩石の露頭も見られ、非常に貴重な自然資源が残っています。
また、流域沿いにも豊かな自然資源があり、その内の一つであるポディルスキー・トヴトリ国立自然公園は、世界でも類を見ないユニークな生態系を有します。
シピット滝 (ザカルパティア地方)
カルパティア地方の、ボルサワ山脈の北側に位置するピリぺツ川の深い溪谷に位置するシピット滝は、とても美しい滝として知られています。
ウクライナで最も美しい滝の一つであり、数万人もの観光客が毎年訪れます。14メートルもの高さから落水し、いくつもの滝壺に分かれつつ、水しぶきがあがります。
90年代初頭以降、ヒッピーやウクライナ国内外のサブカルチャー好きが集まる夏至祭りが毎年開催されています。
シンギング・テラス (ハルキウ地方)
大きな円形劇場の形をした珍しい果樹園で、「Singing Terraces(歌うテラス)」という名前で親しまれています。四方に果樹が生い茂る場所に19世紀末に建てられた野外円形劇場は、驚くべき音響特性で知られています。
レンガの壁には、異なる大きさ・金属で作られた特別なパイプが埋め込まれており、音がその中を通り抜けることで、サウンドが生まれます。そのため、近くにいると、テラスからメロディが聞こえてくるのです。