新型コロナウイルス感染症の影響を受け、Eコマース(インターネット販売)市場への期待・注目が世界的に高まっている。そこで本号では、ポーランドにおける同市場の現状と今後の展望について紹介する。
<デジタル化について>
ポーランド人の携帯電話所有率は、1人当たり1.38台である。また、国民の約半数がSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のアカウントを所有し、インターネットを使いこなしている。これらの数字はEU全体の平均程度であるが、昨年と比較した伸び率はEU内で高水準にある(アカウント所有率は昨年比8%増)。
このことから、ポーランドのデジタル化は今後ますます進んでいくことが予想できる。
<ポーランドにおけるEコマース市場の現状>
2018年時点で、62%のポーランド人がインターネット上で買い物をしたことがある、と回答している(前年比約8%増)。特に、中高年の利用者数の増加が顕著であり、2019年、50歳以上のポーランド人の4人に1人がEコマース利用者となっているというデータも存在する。(昨年比14.4%増)
またポーランドには、日本同様多くのEコマースプラットフォームが存在している。知名度調査によると、Allegroが約80%の知名度を誇り、ポーランド国内1位となっている。これに、OLEX(39%)、Zalando(17%)、AriExpress(13%)、Ceneo(10%)が続いている。
<ポーランドのEコマース市場の展望>
昨今の伸び率から考えて、ポーランド人、特に50歳以上の人々の間で、今後もEコマース市場は順調に伸びていくと考えられる。加えて、感染症拡大による外出制限が、Eコマース市場にとって成長の追い風となっている。大手スーパー各社の宅配サービスは3週間先まで予約不可能となるなど、人気を博している。送料300円-500円程で、外出せずに配送を依頼できる手軽さが魅力となっているようだ。
一方、市場全体が成長することに伴い、Eコマースプラットフォームに変革が起こる可能性もある。今年、Amazonがついにポーランドに進出する予定なのである。また、先述のAriExpress(中国:アリババ社)で販売されている安価で流行に乗った製品が、若者を中心に強い支持を受けている。
今後は、前述のような「非欧州発プラットフォーム」が躍進し、プラットフォームの多国籍化が進むことも予想される。日本のEコマースサイトにも、ポーランドでの商機が訪れるかもしれない。